更新日時: 2009.01.23
カテゴリ: 豆知識
厳寒のパリから、南仏を想う
Marianne

今年の年明けは雪景色だった。
パリで雪が積もった風景を見ること自体が珍しい。
その厳しい冷え込みの中、パリの中心部サン・ルイ島では、ほとんどの地域が大晦日の夜から元旦にかけて、停電に見舞われたということである。
島内のほとんどの建物が旧建築のため、氷点下の中、照明も暖房もなくお湯も使えず、サイ・ルイ“島民”たちは大騒ぎだったらしい。中でも一番気の毒だったのは、新年を祝うため大晦日にレストランのテーブルを囲んでいた大勢の客と、稼ぎ時をフイにしてしまったレストランの経営者達たちかもしれない、というのが“島民”である友人の弁である。
昨年11月末、ニースに出張したとき、同様に停電に見舞われた。激しい雷雨の土曜の夜であった。翌日がチェックアウトであったが、建物全体の停電のためクレジットカードの端末が使えない。復旧後に遠隔操作で引き落としてもらうようにして何とか事なきを得たものの、今回は雨天続きで明るい太陽にほとんど無縁だった。ホテルのパトロンの話によると、11月中旬も突然の集中豪雨のため、コート・ダ・ジュールからボルドーあたりまでの国鉄がマヒらしい。この異常気象、やはり地球温暖化の影響なのだろうか。
とにかく、年末からずっと凍りつくような日が続き、連日氷点下のまるで冷蔵庫のような寒さ。ここ数日、若干寒さが緩んでいるものの春はまだ遠い。せめて思いだけでも南仏に馳せて暖かい気分になってみたい。
パリからニースまで飛行機で約1時間半。空港のバスターミナルからバスに乗ると、やがて紺碧海岸が目に入ってくる。海岸沿いの英国人の散歩道(プロムナード・デ・ザングレ)と呼ばれる全長3.5kmの遊歩道は、夏にはカラフルなビーチ・パラソルで埋め尽くされる。名前の通り、保養地としてのコート・ダ・ジュールの魅力を最初に見出したのは英国人だと言われ、ベルエポックには多くの北ヨーロッパの王侯・貴族が競うようにして太陽を求めてこの地を訪れた。
その時代に建てられた多くの瀟洒な別荘ひとつが、現在、ニースを代表する高級ホテルになっているネグレスコである。やがてバスは空港から20分ほどで市内中心、マセナ広場近くに到着する。新市街と海岸に挟まれたエリアが旧市街で、高級リゾートのイメージとは一味違った庶民的な魅力がある。迷路のような路地で地方特産物を扱うブティックをひやかしながら、ニース料理を味わえるレストランを物色するのが楽しいだろう。
ニースから1時間足らず車を走らせるとそこはもうモナコ。ニース空港からヘリコプターでのモナコ・インも可能だ。所要約7分。またイタリア国境まで車で約15分。モナコの国土はわずか1.95k㎡、ヴァチカン市国に次いで世界で2番目のミニ国家である。三方を山(仏領土)に囲まれた地中海に面する狭い国土に所狭しと建物が林立する風景は、何となく香港を思わせる。ミクロクリマのおかげで、年間の日照は約300日というからうらやましい限り。



F1グランプリ、ケリー・バック、億万長者のクルーザー、カジノと、モナコのイメージは華やかで非日常的だが、王宮の高台から見下ろす、モナコ湾の眺めはいつ見ても最高。
パリの寒さに耐えかねた時、ウィークエンドに南仏で少しばかり暖まってくるのもいいアイデアだと思う。